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しょうじょじごく

少女地獄

夢野 久作

「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页

青空文庫

て、あの廃屋は何と言う便利この上もない密談の場所でしたろう。

二階と違って階下は、破れたなりに硝子戸と雨戸が二重に閉まっているのですから、すこしくらい大きな声でも滅多に外へ洩れませんが、その代りに、大抵のヒソヒソ話でも、二階で息を殺している私の耳へ筒抜けに聞こえて来るのでした。そうしてそのお話というのは大抵、校友会費に関係した事ばかりで、お二人でその誤魔化し方を熱心に研究なさるのでした。

私は学校のグランド・ピアノが三千五百円と帳面に付いているのに、ほんとうは中古の五百円である事を聞きました。卒業生の寄付で出来た正門の横の、作法室の建物や備付品が、表向きは一万二千円となっているのに、内実は七千何百円とかですんでいる入り割りもわかりました。それから校長先生が、校友会費を流用して、川村さんの弟さんの名前でゲンブツという相場をなすって、お金を儲けて、傴僂の川村さんと山分けにしていられるようなお話も聞きました。

それからそのゲンブツのお金にお困りになった後始末のために、校長先生はかねてから準備しておられた、世にも奇妙な金儲の方法を川村さんにお打ち明けになるのをチャント聞いてしまいました。