轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しょうしょうしげもとのはは

少将滋幹の母

谷崎 潤一郎

「毎日新聞」毎日新聞社、1949(昭和24)年11月16日~1950(昭和25)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,234 字 · 160 页

青空文庫

を載せている。―――

春の野に緑にはえるさねかづら

わが君実とたのむいかにぞ

此の「君実」と云うのは本妻の意であって、何処まで本気で云っているのか分らないとしても、斯様な文句を書き送るからには、平中も此の人に対して多少とも真剣な気持があったのであろう。彼は今、時平に突然みそかごとを発き立てられたので、うろたえた返事をしたのであるが、正直を云うと、まだ幾分か此の過去の恋人のことを忘れかねていたのであった。浮気男のことであるから、今日迄に契った女は数を知らず、大部分はその場かぎりで捨てゝしまい、今では顔も名もおぼえていないのが多いのだけれども、此の美しい夫人とは、近頃暫く遠のいているようなものゝ、一時はたしかに並々ならぬ関係にあったのである。目下のところ、已むに已まれぬ行きがゝりで侍従の君を追い廻すような羽目になり、へんに懊らされているものだから、一途に心がその方へばかり向いているのであるけれども、前者との縁も決して完全に切れてしまっている訳ではなかった。殊に思いもかけない時に、そう云う風に時平に尋ねられて見ると、又改めてその人のことが思い出されて来るのであった。