轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
「毎日新聞」毎日新聞社、1949(昭和24)年11月16日~1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,234 字 · 160 页
そこへ持って来て、左大臣が好意を示すようになってからは、その感激のせいでつい酒を過し、酩酊してから床に這入るので、なおさらしつッこく手足に絡み着くようにする。それにもう一つ、此の老人の癖は、閨の中の暗いのを厭うて、なるべく燈火をあかるくしたがるのであった。と云うのは、老人は北の方を手を以て愛撫するだけでは足らず、とき/″\一二尺の距離に我が顔を退いて、彼女の美貌を讃嘆するように眺め入ることが好きなので、そのためにはあたりを明るくしておくことが必要なのであった。
「ですが、もうわたしなどは何を着ようと差支えない。あなたこそあの綿や錦を召して下さい」
「それでも大臣は、殿がお風邪を召さぬようにと仰っしゃって、下されましたものを、………」
低い声でしかものを云わない北の方は、耳の遠い老人に分らせることが困難なので、自然夫に対しては言葉数が少く、分けても閨に這入ってからは殆ど無言で通すので、此の夫婦の間では寝物語が交されることはめったになく、大概老人の方がひとりでしゃべりつゞけるのであった。そして北の方はたゞうなずくか、たまに一と言か二た言、老人の耳の端へ口を寄せて、唇が耳朶へ触れるくらいにして云うのであった。