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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎士郎『尾崎士郎短篇集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:秋風と母、運命について、河鹿、菎蒻、三等郵便局、十三夜、鶺鴒の巣、滝について、叛骨・中野正剛、蜜柑の皮。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 页
中野が、西郷の「敬天愛人」という言葉に感激し、大塩平八郎に傾倒したと同じように、雲井竜雄もまた、彼の思想の発展的径路に同じ方向をたどっている。同時に、私が、更に興味を覚えるのは、しばしば引合いに出した永井柳太郎が、本質的なフェミニストでありながら、西郷を慕い、大塩平八郎を崇拝していることである。しかし、永井の場合は、対象化されている人間とのあいだに一定の距離があり、いかに大塩に陶酔しても永井柳太郎の本質を逸脱することはなかった。彼は人間的気宇においても、大隈重信の影響をつよくうけただけあって茫洋たる機略と、護身的処世法を体得していた。中野は、これとくらべると徹頭徹尾、直情径行であり、知的感覚においてもはるかに深く鋭いものを持っていながら、彼の内にひそむ改革者的情熱は、しばしば激情にまかして飛躍するとともに、自ら進んで窮地に陥ることを避けるだけの余裕と術策とに欠けていた。
自分に対して厳烈であった彼は、他を批判する場合に寛容な態度をとることができず、ひとたび敬愛と信頼を捧げた人物に対しても、感情の角度の変るにつれて、認識を一変するだけではなく、これを敝履のごとく捨てて顧みないというようなことも幾度びとなく繰返された。