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あきかぜとはは

尾崎士郎短篇集

尾崎 士郎

尾崎士郎『尾崎士郎短篇集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:秋風と母、運命について、河鹿、菎蒻、三等郵便局、十三夜、鶺鴒の巣、滝について、叛骨・中野正剛、蜜柑の皮。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 页

青空文庫

あのひとたちの中には親のあるものもあるし、妻子のある人たちもある、今更何というたところで仕方もあるまいが、ということを何べんもくりかえしくりかえし申しましたが、わたくしが、

「お気の毒でございます」

と申しますと、あの男は窓のそとへちらりと眼をそらして、「ハ、ハ、ハ、ハ」とうつろな声で笑いだしてから、

「先ず同じ船に乗り合せてもらったと思うよりほかに仕方があるまいな――海の上で暴風にあっていっしょに海底の藻屑となったと思えば何とかあきらめのつく道もあるでしょう」

「何も彼も運命です」

と、わたくしが答えると苦しそうに顔をしかめて、

「先ずそのへんのところかな」

と申されました。二日経っていよいよ刑の執行ときまったときにも、さすがは一党の大将だけに柳亭は平常とほとんど変らぬ顔色で、その朝の七時、看守が呼び出しに行ったときにはもう眼をさまして、独房の中に端坐していたそうです。典獄がおごそかな声で、今から刑の執行をするということを申しわたしますと、二、三分眼をとじていたようですがすぐ落ちついた声で、――と言っても何時もとくらべると非常にせきこんでいるようでしたが、