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やまのかみさつじん

山の神殺人

坂口 安吾

「講談倶楽部 第五巻第一〇号」1953(昭和28)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,014 字 · 21 页

青空文庫

こうすれば死神と狐を落すことができる。こうしなければ、ほかに落す方法はないのだ。どうだ。お前らにはそれが分らないか」

お加久が歯をガタガタふるわせながら、

「そうだ。そうだ。その通りだ。そうすれば死神と狐を落すことができる。どうしても、そうしなければ落すことができない。三ツ重ねておいて心臓をブッスリ刃の根本まで突き刺す。三ツの首を重ねておいて一ツに斬り落す。こうしなければならない。こうすれば必ず死神も狐も落ちるぞよ」

「そうだ。しかしな。人に見られると、どうにもならぬ。不二男を山におびきだして、誰も見ている人のない山奥でやらなければならない」

「そうだとも。オレは山の神の行者だから、山の神のお膝元へおびきよせてやらなければならぬぞ。日光の奥山がよい。日光へおびきよせてやらなければならぬぞ」

「そうだ。日光の男体山の奥山でやらなければならぬ。中宮祠の裏のずッと奥の沢へでて藪の中でやらねばならぬ。それをやるのは兵頭の役だが、兵頭はやることができるか」

「そうだ。そうだ。それをやるのは清の役だ。清はきっとやることができる。うしろから心臓をブッスリ突き刺して、首を斬り落すのだ。