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やまのかみさつじん
山の神殺人
「講談倶楽部 第五巻第一〇号」1953(昭和28)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,014 字 · 21 页
きっとやることができるぞよ」
兵頭も寒気と亢奮とで石のように堅くなってブルブルふるえていたが、こう云われると膝からガクガクとゆれはじめて、カチカチと時計のように歯を鳴らしながら、
「ハイ、オレが必ずやってみせます。オレも昔のオレではない。いまでは、神様を見ることも、声をきくこともできるようになりました。もう一とふんばりで、立派な行者になってみせます。不二男の死神と狐はオレがスッパリ落してみせます」
それをきくと平作は力一パイ二人の手を握りしめて波のように揺さぶりながら、
「ナム妙法蓮華経。ナム妙法蓮華経」
お題目を唱えはじめた。二人の狂信者がそれにつれて、ここをセンドと合唱しはじめたことは云うまでもない。
王様誕生
それから十日ほど後のことである。日光男体山の山中で心臓を刺され、首を斬り落されて死んでいる男が発見された。
一定の日でないと行者が通ることもない山だが、その日に限って里人がそこを通ったので、兇行の翌日に死体が発見された。これも一ツの幸運。
殺された男の懐中から一通の手紙がでてきたので、被害者の身許も分った。重ね重ねの幸運だ。被害者は云うまでもなく不二男。