轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
がけしたのいけ
崖下の池
豊島 与志雄
――近代説話――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,109 字 · 25 页
池をこめて二百坪ほどの地所が、清水恒吉の所有でありまして、そこを他人の使用に放任しないために作られたトタン葺きの小屋には、恒吉と同じ会社に勤めてる高鳥真作が住みました。其後、真作が他に住居を得て移転してから、小屋は取り壊され、ささやかながらも瓦葺きの住宅が建てられて、恒吉が姪の辰子と共に住みました。電灯もつき、水道も出ました。崖の横腹に穿たれた嘗ての防空壕が、恰好な物置となりました。
春になっても、子供たちはもう池へ遊びに来ませんでした。地所の三方には竹の四つ目垣が結い廻され、八手の青葉などが所々にあしらわれ、一方の崖には、焼け残った灌木が芽を出し、蔦や蔓が延びました。
或る日、かねての約束どおり、高鳥真作が植木をトラックで運んできました。楓、桜、梅、檜葉、梔子、無花果、沈丁花、椿など、雑多な樹木で、熊笹の数株まで添えてありました。清水恒吉は全く快心の笑みを浮べ、真作と二人で、それを庭のあちこちに植えました。家よりも寧ろ池を中心に、いろいろと案配し、幾度も植えなおしたりして、一日中かかりました。
夕食には、酒が出され、牛肉が煮られました。肉鍋への野菜としては、葱と共に芹がありました。