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くずれるおにかげ
崩れる鬼影
海野 十三
「科学の日本」博文館、1933(昭和8)年7月~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,100 字 · 69 页
台をして上の方もよく見ました。だんだんと反対の側を下の方へ見て行きましたが、
「オヤ」
と思わず私は叫びました。
「これは何だろう?」
硝子の切り削いだような縁に、白い毛のようなものが二三本引懸っているではありませんか。ぼんやりして居れば見遁してしまうほどの細いものです。余り何も得るところがなかったので、それでこんな小さなものに気がついたわけでした。
これを若し見落していたならば、この怪事件の真相は、或いはいまだに解けていなかったかも知れません。それは後の話です。
私はハンカチーフを出して、その白い毛のようなものを硝子の縁から取りはなしました。そしてそのまま折り畳んで、ポケットに仕舞いこんだのでした。
丁度そのときです。
戸外に、やかましいサイレンの音が鳴り出しました。
ブーウ、ウ、ウ。ブーウ、ウ、ウ。
まるで怪獣のような呻り声です。
破れた窓から外に首を出してみますと、どうでしょう、遥か下の街道をこっちへ突進して来る自動車のヘッドライトが一イ、二ウ、三イ、ときどきパッと眩しい眼玉をこっちへ向けます。いよいよ警察隊がやって来たのです。頭からポッポッと湯気を出して怒っている警官の顔が見えるようでした。