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くずれるおにかげ
崩れる鬼影
海野 十三
「科学の日本」博文館、1933(昭和8)年7月~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,100 字 · 69 页
ふりかえってみると、兄は依然として絨氈の上に長くなったまま、苦しそうな呼吸をしていました。
私は階段をトントンと下って、老婦人の室の扉を叩きました。
「おばさん。いよいよ警官が来ましたよ。もう大丈夫ですよ」
そう云いながら、私は扉を開いて室内へ一歩踏み入れました。
「や、や、やッ――」
私の心臓はパッタリ停ったように感じました。私は一体そこで、何を見たでしょうか?
妖怪屋敷
この室の扉を開くまでは、私は老婦人ひとりが、静かに寝台の上に睡っていることと思っていました。ところがどうでしょう。いま扉を押して見て駭きました。なんでもそのときの気配では、婦人の外に十人近くの人間がウヨウヨと蠢いているのを直感しました。
「オヤッ」
一体この大勢の人間は何処から入ってきたのでしょう? ここの主人の谷村博士とこの老婦人以外には、せいぜい一人二人のお手伝いさんぐらいしか居ないだろうと思った屋敷に、いつの間にか十人近くの人間が現れたのです。しかも大して広くもない此の婦人の室に、ウヨウヨと集っていたのですから、私は胆を潰してしまいました。
ですけれど、私の駭きはそれだけでお仕舞いにはなりませんでした。