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くずれるおにかげ
崩れる鬼影
海野 十三
「科学の日本」博文館、1933(昭和8)年7月~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,100 字 · 69 页
一体なにごとが起ったのでしょう?
飛びゆく怪博士
悲鳴のする家は、漸くに判りました。それは、向うに見えている大きい洋館でありました。二階の窓が開いて、何だか白い着物を着た女の人らしいものが、両手を拡げて救いを求めているようです。
「どこからあの家へ行けるんだろう」と兄が疳高い声で叫びました。
「ほら、あすこに門のようなものが見えていますよ」と私は道をすこし上った坂の途中に鉄の格子の見えるのを指しました。
「うん。あれが門だな。よォし、駈け足だッ」
私達二人は夢中で草深い坂道を駈けあがりました。
「門は締っているぞ」
「どうしましょう」押しても鉄の門はビクとも動きません。
「錠がかかっている。面倒だが乗り越えようよ。それッ」
二人はお互に助けあって、鉄柵を飛び越えました。下は湿っぽい土が砂利を噛んでいました。私はツルリと滑って尻餅をつきましたが、直ぐにまた起上りました。
「オヤッ」
先頭に立っていた兄が、何か恐いものに怯えたらしく、サッと身を引くと私を庇いました。兄は天の一角をグッと睨んでいます。私は何事だろうと思って、兄の視線を追いました。
「おお、あれは何だろう?」