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くずれるおにかげ
崩れる鬼影
海野 十三
「科学の日本」博文館、1933(昭和8)年7月~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,100 字 · 69 页
「ははーん」
私は、この大きな謎が一時に解けたので、思わず大きな溜息をつきました。
そのとき一座が俄かにドヨめきました。
「ああ、いよいよ、ルナ・アミーバーが見えて来ましたよ」
大団円
ああ何という不思議!
硝子樽の中には、いままで何も無いように思っていましたが、ジリジリブツブツと、なんだか紫色の霧のようなものが動揺を始めたと思う間もなく色は紅に移り、次第次第に輪廓がハッキリして来ました。やがてのことに、青味を帯びたドロンとした液体が、クネクネとまるで海蛇の巣を覗いたときはこうもあろうかというような蠕動を始めました。なんという気味のわるい生物でしょう。覗きこんでいる人々の額には、油汗が珠のように浮かび上ってきました。
「ああ、いやらしい生物だッ」
誰かがベッと、唾を吐いて、そう叫びました。それが聞えたのか、ルナ・アミーバーは、草餅をふくらませたように、プーッと膨脹を始め、みるみるうちに、硝子樽一ぱいに拡がりました。
「これはッ――」
と思って、一同が後退りをしたその瞬間、がちゃーンという一大音響がして、サッと濛々たる白煙が室内に立ちのぼりました。
「呀ッ――」