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へいまとうぐいす
平馬と鶯
林 不忘
「少年倶楽部」1927(昭和2年)2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,130 字 · 21 页
「もう遠くへ飛んで行ってしまったろうと思いましたのに、捕えて下さいまして、ほんとうにありがとうございました」
こう言って少女は、改めて御礼を言いたいから、ちょっと休んでお茶でもと、先きに立って平馬を案内した。赤くなって平馬、仕方がないからついて行った。
庭へはいる。
奉納仕合
常陸の国、筑波山の麓。
山を背負って二つの藩がある。一つは結城の里。水野日向守一万八千石。
他は下妻の町、井上伊予守一万石。
この二つの藩の若侍はことごとに仲が悪かったが、ことに筑波神社のお祭が近づいて来ると、いっそうその反目の気分が濃くなるのだった。そのわけは、毎年、筑波神社の祭礼に、両藩の若侍のなかから、剣にすぐれた者が選び出されて、社前で奉納の大仕合が行われる。結城の城下には、北辰一刀流の道場があって、この仕合を目あてに猛烈な稽古を励んでいるかと思うと、下妻には、真庭念流の先生がいて、これも筑波の奉納仕合を目前に、それぞれ血の出るような修業をしているのだ。じつに、筑波神社の奉納仕合はたんに両藩若侍の間の勝負ではなしに、藩全体が力瘤を入れて、百姓や町人まで夢中になる一大年中行事であった。