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ねんじゅうぎょうじおぼえがき

年中行事覚書

柳田 国男

在线阅读柳田 国男《年中行事覚書(ねんじゅうぎょうじおぼえがき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,005 字 · 262 页

青空文庫

それは何でも果てなしに続くという不思議の力であった。この女が布を機から卸して物差で測り出すと、何尺取ってもその跡がまだ残っている。それでたちまち大金持になってしまった。

悪い女はそれを見て羨ましくてたまらない。方々探しまわってその旅僧を見つけ無理にひっぱって来て、くれとも言わぬのに布を何尺か剪って渡すと、御褒美はこれも同じ力であった。やれ嬉しや、まず水でも汲んでおいてから布をはかることにしようと、手桶を下げて井戸へ行き、水を持って帰る途中、すべって転んでその水がこぼれ、それがまた一旦始まったらいつ迄も続いて、しまいにはこの女の家屋敷が沼になった。その沼が何とか沼だそうなというような人を笑わせる話も、やはり同じ言い伝えを親にして生まれたものである。

それからもう一つ、これは今少し新しく出来たものらしいが、宝手拭という話がある。むかし心の美しい、顔容の至って見にくい娘があって、長者の家に奉公をしていた。主人の妻女の物吝みが強いので、自分は流しの余り物を食べ、我が食う分を残しておいて旅僧に施していた。ある日ふらりと来たのが弘法大師であることを知らず、そっと後を追いかけて用意の食物をさし上げると、お前は珍しい善人だからこれをやろうと、この方は向うから三尺ばかりの布をくださった。