轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こうふくのかんかく
幸福の感覚
宮本 百合子
「婦人画報」1940(昭和15)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,231 字 · 14 页
幸福は普通私たちに感情として湧いて来る。幸福感という表現がある。心情的な感じであるから、それは固定したものではなくて、私たちの日常のあれこれをかいくぐって流動しているものである。今感じられた幸福感も三時間のちには消されるということもある。何によってそれは導き出され、消されるだろうか。自分の内と外とのあらゆる生活要素のあらゆる角度からの接触のあらゆる刻々の移り動きが、私たちの幸福感を誘い出し、また追放するのだと思う。そして、私たちの生活の諸要素は、誰しもよく知っているとおりめぐりあった社会の歴史として時代性をもっているし、個人的な条件としての境遇や性格なども、その複雑な要素をなしている。複雑なそれらの要素は夜も昼も停止することのない生活の波の上に動いているわけで、私たちはその動きやまない生活の閃光のようにおりおりの幸福感を心の底深くに感じる。だけれども、その感じは大体感覚の本性にしたがって、ある時が経てば消える。
この動的な生活感情の明暗の推移を、昔の日本人は、人間の心のはかなさと見た。現代の人はそうは見ていない。しかし、感覚的なものとして過ぎてゆく性質の幸福感が、何かそのひとの生活力の一部にまで摂取され、何かその人をささえる生活上の確乎とした力となり、精神に精彩を与えるものとなるには、ただ湧いたり消えたり