轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
でしのこころ
弟子の心
宮本 百合子
「新家庭」1923(大正12)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,926 字 · 8 页
然し、千葉先生は、学問の講義のうちに、実に多くの暗示を含ませて人生と云うものを考えずにいられない刺戟を与えられたのである。
その時分から、私はまるで背低くであったので、級では一番前列に席がある。
右手の扉から、先生が軽い大股で、ノートを左手に入って来、教壇に立たれる。私は、心をこめ、求道者が師を礼拝するような心持で頭を下げた。そして、次第に熱中し、興にのって、講義して行かれる心理学概論を筆記する。
先生の教授ぶりは、熱があり、インテレクチュアルで、真摯なものであった。
黒板に何か書いたチョークを、両手の指先に持ち、眉間に一つ大きな黒子のある、表情の重味ある顔を、心持右か左に傾けながら、何方かと云うと速口な、然し聞とり易い落付いたアルトの声で、全心を注ぎ、講義された俤が、今に髣髴としている。
先生は、顔に表情があるばかりでなく、肩から腕にかけて、非常に特殊な性格の一部を表して居られた。長い、肱の折れめの深い腕に、何とも云えず謙譲な、つつましさ、敏感さと云う感じが漂っていた。掌は、やや大きく確かり力ありげに見える。
先生が、教える学課を何かの機縁にして、一人一人の生徒が自己を啓発して行くように努力されたことは、公平に、時を惜まず、箇人的な質問に応じられたことでも明であった。