轻松读懂日语经典作品
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おもいでぐさ
思い出草
岡本 綺堂
「木太刀」1910(明治43)年11月、1911(明治44)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,303 字 · 11 页
ある年の秋、大風雨のために折れて倒れて、凄まじい響きに近所を驚かした。翌る朝、私が行って見ると、梯子は根下から見事に折れて、その隣の垣を倒していた。その垣には烏瓜が真赤に熟して、蔓や葉が搦み合ったままで、長い梯子と共に横わっていた。その以来、わたしの町内に火の見梯子は廃せられ、そのあとに、関運漕店の旗竿が高く樹っていたが、それも他に移って、今では立派な紳士の邸宅になっている。
三 西郷星
かの西南戦役は、私の幼い頃のことで何にも知らないが、絵双紙屋の店に色々の戦争絵のあったのを記憶している。いずれも三枚続きで五銭位。また、その頃に流行った唄は、
「紅い帽子は兵隊さん、西郷に追われて、トッピキピーノピー。」
今思えば十一年八月二十三日の夜であった。夜半に近所の人が皆起きた。私の家でも起きて戸を明けると、何か知らないがポンポンパチパチいう音が聞える。父は鉄砲の音だという。母は心配する、姉は泣き出す。父は表へ見に出たが、やがて帰って来て「何でも竹橋内で騒動が起ったらしい。時々に流丸が飛んで来るから戸を閉めておけ」という。私は衾を被って蚊帳の中に小さくなっていると、暫らくしてパチパチの音も止んだ。