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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
顔を風呂敷で隠した『声』の怪塔王は、はじめの勢もどこへやら、いまはしょんぼりとして『顔』の怪塔王の言いなり放題になっています。なにが彼をそうさせたのでしょうか。それはもちろん、この怪塔が海中につかりきりだと、あとしばらくして爆発し、彼も死んでしまわねばならぬのをおそれての上のことです。
『顔』の怪塔王は、いきなり、『声』の怪塔王の両手をうしろへ縛りあげてしまいました。
「あれは本当に返してくれるのだろうね」
と、『声』の怪塔王はまた念をおしました。
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水中にながくつかっていると、怪塔は爆発するかもしれないというので、さすがに命のおしくなった『声』の怪塔王は、いまや『顔』の怪塔王に降参してしまったかたちです。彼の両手は、うしろにまわされ、しっかりとしばられてしまいました。
「さあ、君の言うとおりになったから、はやく約束どおり、君が盗んでいったものを返してくれい」
と、『声』の怪塔王はさいそくしました。
「うむ、約束はかならず果すよ。しかしその前に、貴様の体を念いりにしらべておかねば、あぶなくて安心していられない」
「なに、体をしらべるって。ちぇっ、そんな約束をしたおぼえはない」