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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

それからどのくらい時間がたったかしれませんがふと気がついてみると、夜はすっかり明けはなれ、あれほどはげしかった嵐はどこかへ行ってしまい、まるで嘘のような上天気になっていました。

「ああっ、暑い!」

やけに暑い太陽の光線が、兵曹長の体にじかにあたっていました。その暑さのあまり、気がついたらしいのです。

「ああ、どうも暑くてたまらん。なんて暑いのだろう。のどが乾いて、からからだ」

兵曹長は、座席の下から水筒をとりだし、目をつぶって、がぶがぶとうまそうにのみました。

ふと気がついてみると、これは青江三空曹の名のはいった水筒でありました。怪塔王と闘って、ついに壮烈な死をとげた青江三空曹のことが、いまさらに思い出されて、兵曹長ははらはらと涙をこぼしました。

「おい、青江。空のどこからか俺の声を聞いているか。俺はきっと貴様の仇を討ってやるぞ。俺のすることを見ていろ!」

と、ひとりごとをいいながら、また水筒の水をがぶがぶとのみましたが、

「やあ青江、いま貴様の水筒から水をのんでいるぞ。どうもごちそうさま、貴様は暑かないのか。なに、もう神様になったら、ちっとも暑くないって。