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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
と、ミチ子が怒ったような声でいいました。
一彦はただ一言「うん」とこたえたまま、老人の後姿をじっと見つめていました。その顔には、ただならぬ真剣な色がうかんでいました。
怪事件
1
九十九里浜の沖に、一大事件があったのを一彦とミチ子とが知ったのは、その翌朝のことでありました。
一大事件とは、一体どんなことだったでしょうか。軍艦淡路――といえば、みなさんも、すぐ、あああの最新式の戦艦のことかとおっしゃるでしょう。そうです、軍艦淡路は、帝国海軍が世界にほこる実にりっぱな戦艦であります。工廠で作りあげられ、海をはしるようになってからまだ一箇月にもなりません。いままでの戦艦とはちがって、たいへんスピードが早く、これまでの戦艦とは全くちがった不思議な形をしていました。まるで要塞が海に浮かんだような恰好だと、誰かがいいましたが、そのとおりでした。
その軍艦淡路が、昨夜九十九里浜の沖で、どうしたわけか進路をあやまって、浅瀬にのりあげてしまったのです。
いくら大きな最新式の軍艦でも、浅瀬にのりあげるとは変なことではありませんか。
航海長は、決してあやまちをした覚えがないといっています。