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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

2

それといれちがいに、小浜兵曹長が甲板へ飛出してきました。

「塩田大尉、一大事ですぞ」

「なんだ、小浜、お前にも似あわず、あわてているじゃないか」

「あっはっはっ、あわてているかもしれませんね。とにかく怪塔ロケットの行方がわかりかけたのです」

「なに、怪塔ロケットの行方が――」

と、塩田大尉がびくりと太い眉をうごかし、

「ほう、それはうまい。しかし大利根博士は、怪塔から発射する例の怪力の正体がわからないうちは、とても怪塔の行方はわかるまいと言っていられたぞ」

「博士はそんなことを言われましたか。しかし、いま無線班は、怪塔から出していると思われる無線電信をつかまえたのです。それは非常に弱い無線電信で、しかもはじめは、たった二十秒間ほどしかきこえませんでしたが、たしかに軍艦淡路を呼んでいるのです」

「ほうほう」

と、塩田大尉は前にのりだしてきた。

「なにか信号の意味でもわかればいいと思って苦心しましたが、たしかに電文をうっているのですが、符号がきれぎれになって、よく意味がききとれません。しかし淡路の呼出符号だけは、幾度もくりかえされるので、ははあ、こっちを呼んでいるなと、わかるのです」