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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

わが日本には、世界にじまんをしていいほどのりっぱな方向探知器があるのは、気づよいことです。

塩田大尉の顔は、さすがによろこびの色にあふれて、小浜兵曹長の手をかたくにぎり、

「方向探知器の方が、大利根博士よりもえらい手柄をたててしまったぞ」

「はあ、そうでありますか」

「なぜといって、大利根博士は怪塔ロケットがどこへ行ったかしらべるのは、なかなかだといっておられた」

「はあ、では大利根博士に、怪塔の行方がわかったと知らせますか」

「そうだね」

といって、大尉はしばらく考えていましたが、

「まあ知らせないでおこう。すこし思うところもあるから」

と、意味ありげなことをいいました。

それはそれとして、あのよわよわしい怪電波は、果して怪塔から出ているのでありましょうか。それならば、誰があの信号を出しているのでしょうか。

怪塔にとじこめられていた帆村探偵と一彦少年とは、いまどうしているのでしょうか。

それはともかく、塩田大尉は、小浜兵曹長のもってきた怪電波のでている地点のしらべを、一切、艦隊旗艦にしらせました。

司令長官はこのことを聞かれると、すぐさま勿来関へむけて、偵察機隊をむけるよう命令をだしました。