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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

すると、そのときボートが浜べについて中から水兵さんが、どやどやと下りてきましたが、そのうちの一人が、警戒に来ているお巡りさんのところへやってきて、話をはじめました。

「警官、藁むしろは集りそうですか」

「ここの村では、水兵さんが申し出られたほどは集りませんが、その半分ぐらいは集りそうです。のこりの半分は、いま方々へ人を出して集めていますから、心配はいりませんよ」

「そうですか。早くしてもらいたいですね。潮はこれからどんどん引くそうだから、軍艦はますますあぶなくなります」

「水兵さん、一体どうしてあんなことになったんです。航海長の失策ですか」

「いや、そんなことはない。全く不思議というよりほかはないのです。いつの間にか、あの大きな艦体が陸地へひきよせられていたというわけです。まるで磁石に吸いよせられた釘のようなわけですよ」

「変なことですねえ」

「変なことといえば、もっと変なことがあるんです」

「えっ、もっと変なことがあるんですか」

とお巡りさんは、びっくり顔色をかえて水兵さんの面を見つめました。

「そうです。さらに変なことというのは、軍艦の檣が――これは鋼鉄でできているんですよ。