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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页
と谷村は言った。
二七日の晩に兇行を演ずるつもりで初七日の法事が済むなり、その特別な歯附釘抜の製造に取りかかった。どうせ早晩自分の生命もなくなるからと思って、細君の死後二人の助手に暇を出したので、彼は誰にも怪しまれずに予定通り製作を終ったのである。
先夜、夫人は帰りがけに、大原家の洋館の裏口の扉にさされてあった鍵を、夢中で握って逃げて来たので、彼はその鍵をもって、昨夜九時頃しのび込み、物置部屋にかくれて居ると、大原は十一時ごろ一人の女を連れて帰った。彼は扉を細目にあけて見ていたが、間もなく大原はハンカチーフに麻酔薬をしめして女の口を蔽った。実は女が帰ってから殺すつもりであったけれども、自分の妻もああして暴行を加えられたかと思うと、カッとなって彼は飛び出し、用意の手巾にクロロフォルムをしめして、大原の後から、その口を蔽ったのである。そのとき断髪の女はぐたりと床の上にたおれ、次いで大原も仰向きにたおれた。そこで彼は用意の釘抜を取り出して、咽喉笛をはさみにかかったが、カラーが邪魔して思うように咬みつかなかった。やっと咬みついたかと思うと、傍の女がうなりかけたので力まかせに釘抜を押しつけて窒息させたのである。