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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页
一度五分の高熱です。私は直ちに氷嚢を拵えて冷やしてやり、例の内科の友人に来てもらいました。私が友人から病名をきいた時の心持は、今から思ってもぞっとします。即ち友人は、立派な粟粒結核だと申しました。粟粒結核! それは死の宣言と選ぶところがありません。妻はよほど以前から肺を冒されて居たのを、我慢に我慢して来たので遂に取りかえしのつかぬ運命に陥ってしまったのです。私は絶大の悲哀に沈みましたが、何だか其処に一縷の希望があるようにも思いました。いう迄もなく人工心臓によって妻を救い得るだろうという希望です。
妻は私と友人との顔つきを見て、早くも自分の運命を察したと見え、友人が去るなり、
「わたしもう治らぬのでしょう?」
と訊ねました。
私は返答に行き詰り、黙って首を横に振りました。
「わたしにはちゃんとわかって居るのよ。然し、わたしは死ぬことがちっとも怖くない」
その声がいかにも希望に満ちて居りますので、私は思わず、
「え?」といって彼女の顔を見つめました。
「人工心臓があるのですもの。ねえ、わたしが死んだら、すぐ人工心臓を取りつけて頂戴、わたしはきっと甦ります」
「そんなことを言っては悲しくなるじゃないか。