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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页
「いっそ、私にその訊問をさせて下さいませんか」
「え?」と、刑事は怪訝な顔をした。
「御不審は尤もですが、私の考えるところでは、たとい警察の御方がどんなにして訊問なすっても、彼女は決して返答はすまいと思います。そこで、私にあなたがたの代りをさせて頂きたいのです。きっと彼女に事情を語らせて見せます」
こういった康雄の額には、汗が沁んで居た。刑事は暫らく考えて居たが、すぐには返答しかねる様子であった。
「私は決して、彼女に逢って、彼女に入れ智慧する訳ではありません。私は彼女の無罪を信じて居るので、それを証明したいと思うのです。これまで読んだ探偵小説の知識を実際に応用して見たくなったのです。若し出来ることなら、私に現場の捜査をもさせて頂きたいのです。いわば臨時の素人探偵として、この事件だけ、警察の御手伝いがして見たいのです」
康雄の熱心な語調に丑村刑事は動かされたらしい様子であった。恐らく刑事は康雄の本心をも洞察したのであろう。そうして、康雄の力で、彼女の口をあかせるのが、最上の方法だと考えたのであろう。やがて、決心したような態度で、微笑をうかべて言った。
「探偵小説と実際とは決して同じものではありませんが、あなたの熱心はよくわかりましたから、署長に願って見ることに致しましょう。