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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页
だから、読者はことによると「黒猫」を模倣した虚偽の物語だと判断されるかも知れない。けれど、私は、そう判断されても少しもかまわない。かまわないどころか、むしろ、「黒猫」の模倣だといわるれば、却って私にとって、それに越した幸福はないのである。何となれば、私の拙い文章は、巨匠のそれに比して、あまりにも見すぼらしいものであるからである。
私は伊予の国の片田舎に生れた。読者は多分四国の犬神、九州の蛇神の伝説を御承知であろうと思うが、私も実は犬神の家に生れたのである。犬神の家のものは、犬神の家のものと結婚しなければ家が断絶するとか、犬神の家のものが、普通の家のものと結婚すると、夫婦が非業の死を遂げるとかいう迷信があって、私の両親は、その迷信故に、御恥かしい話だが、従兄妹よりももっと濃い仲――○○○○の間柄――で夫婦になり、私を生んだのである。私は一人子として我ままに育ち、附近の町の中学を卒業しただけで家にとどまり、若し両親が今まで生きて居れば、田舎で百姓相手に暮す筈であったのである。ところが、先年、流行性感冒が流行ったとき、父母が同時にたおれ、それ以来、私は地主さまで収まって居たが、何かにつけ、犬神の伝説にまつわられるのがうるさくなり、去年の春、所有の土地や家屋敷まで売り払って、自由な空気の中で生活すべく上京したの