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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页

青空文庫

思えば、君と僕とは、同じ病院を経営してこれまで、何の波瀾もなく暮して来た。だから、僕たちが三人一しょに死んだら、さだめし世間の人たちは驚くであろう。

もとより、この手記を見れば、何のために、僕たちが死んだかはすぐわかる。けれども、ここに、たった一つだけ、永久にわからぬ事情が残るであろう。

というのは、この手記を書いたのが、外科の加藤か、内科の加藤かということである。それほど僕たち二人の筆跡はよく似ている、というよりも全く同じだといってよいからだ。もし恒子さん――主任看護婦の恒子さんが生きて居れば、失恋者がどちらであるかはたちどころにわかるが、その唯一の判断者たる恒子さんも共に死ぬのだから、もはや生きている誰にもわかりようがない。これが、せめてもの、失恋者たる僕の慰めだ。

思うに、君と僕とは、全く運命を共にすべくこの世に生れて来たといってよい。何となれば、僕たちは、世にもよく似た双生児だから。