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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页

青空文庫

火薬爆発は過失と判明

去る三日午後六時半火薬爆発によりて生命危篤に陥れる府下大崎町桐ヶ谷×番地愛猟家近藤進(三〇)は遂に意識を恢復せずして四日午前九時絶命せるが其後原因取調中一時は五ヶ月以前に愛妻を失いたる厭世自殺ならむかとも疑われしが右は全く同人の過失にて同日書斎にて猟用二連発銃のケースに火薬装填中過って爆発せしめしものと判明せり因みに同家は召使いの老婆と二人暮しにて半年たたぬ内に重ね重ねの不幸とて附近の人々は至極同情を寄せ居れり

この二枚の切抜に続いて、「犯罪日誌」の四文字が記され、弘の手蹟で、細かな文字が、その後の幾頁かを埋めて居た。由紀子は、今はもうすっかり腰を落ちつけて、吸いつけられるように読みはじめた。

また犯罪日誌の書けるのが悦ばしい。獄舎の鉄窓をもれる月光のもとに、絞首台の幻影を掻きわけながらペンを走らす犯罪日誌は、本人にとって聊かの悦びをも齎らさないであろう。然るに自分はどうだ。何の悔恨の情もなく、ただ喜悦の情のみをもって、自分の犯した罪をいつもの如くさらさらと書くことが出来るではないか、悪魔よ随喜の涙を垂れてくれ。

近藤進の過失死が実は他殺であること、而もその犯人がこの自分であることは悪魔のみの知る秘密である。