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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页
嘗て都下の第一流の弁護士M氏は、ある会合の席上で、霧原氏のこの訊問法を、前記バーンス探偵の「三等訊問法」に対して、「特等訊問法」と名づけようではないかと、冗談半分に提言したが、それ以来、「特等訊問法」の名が世間に伝わるに至った。然しながら、まだ世間には、この「特等訊問法」がどんなものであるかを知って居る人が少いようであるから、私はここに、ある殺人事件の取調べに応用された霧原警部の「特等訊問法」を紹介すると共に、その事件の顛末を記して見ようと思うのである。
からりと晴れた大正十三年六月三日の朝、霧原警部は、昨夜、小石川で行われた殺人事件の報告をきくために、警視庁の同警部の控室で、現場捜査に赴いた朝井刑事と対座した。朝井刑事の報告の要点は次のようである。
昨夜十二時少し過ぎ、小石川区指ヶ谷町○○番地の坂の上で、「人殺しーい」という悲鳴が、人通りの少ない闇の街の空気にひびき渡った。附近の家々ではまだ起きて居る人たちがあったが、それ等の人々が驚いて出て見ると、相当の身装をした二十歳ばかりの女が、地面の上にうずくまって苦しみ喘いで居た。人々が不便に思って女を抱き起そうとすると、女はさも苦しそうに、「あーん、あーん」