轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あくりょう
悪霊
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1933(昭和8)年11月~1934(昭和9)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,980 字 · 67 页
と云う意味は、それらの血の流れの方向が全く滅茶苦茶であって、例えば右肩の傷口からのものは、左肩に向って横流し、左腕の傷口からのものは手首に向って下流し、左足からのものは反対に身体の上部に向って逆流し、又ある傷口からのものは斜めに流れていると云う調子で、中にも異様に感じられたのは、右臀部からの(これが一番大きい傷口なのだが)血の流れは横に流れ、腰を通って下腹部の左の端近くまで、つまり腰の部分を殆ど一周しているという有様であった。如何に被害者が抵抗し、もがき廻ったにもせよ、こんな滅茶苦茶な血の流れ方があるものでなく、裁判医なども全く初めての経験だと驚いていた。死体の所見は大体以上に尽きている。夫人の絶命した(或は兇行の行われた)時間は、医師の鑑定ではその日の午後という程度の漠然とした事しか分らなかった。又後に取調べられた所によると、近所の人達が夫人の悲鳴を聞いていたという様な事実もなく、結局この殺人事件は、女中が使を云いつけられて家を出た零時半頃から彼女が帰宅した四時半頃までの間に行われたものだという以上に正確な時間を決定する材料は、今の所発見されていないのだ。