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あくま
悪魔
小川 未明
「新文藝」1910(明治43)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,591 字 · 16 页
」
と一人が声を潜めて、仲間のものを見返る。仲間のものは、各自に竹槍と、山刀とを持っていた。今、物を言った一人は、本籠の二連発銃を持っていた。
「顔を見られたら最後だ、なにか、先方が気の付かぬ工夫はないか知らん。」と相談した。
すると山刀を磨いでいた男は、研石を下に置いて、
「黒い布で顔を包んではどうだ。」といった。
「なに? 自分も黒い男に化けるのかい?」
と、銃を持っている男が、それも一理があると言わぬばかりに問い返した。
「そうでないのだ。ただ、こっちの顔を隠すばかりなのだ。」
「じゃ、黒い布でなくともいいのだな。それは駄目だ、近寄って、触りゃそれまででないか。」
「そんなら、竹槍や、山刀では危険だね。」
「勿論、自分も死んで、その代り先方を殺す覚悟ならいいが、とても自分は助からない。」
「じゃ、貴方一人に頼みます。銃は一挺しかないから……。」
と一人がいう。
「宜しい、引受けた。ただ、どうして見張りをしようかと言うのだ?」各自は腕を組んで考えた。誰も、名案が浮ばなかった。すると四十男が、手を叩いて、
「好い思い付きがあった!」と声を低めた。
「ここで話することは悪魔に聞かれよう筈がない。