轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おろかないちにち

愚かな一日

豊島 与志雄

「太陽」1920(大正9)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,045 字 · 29 页

青空文庫

瀬川が来ているのだなと夢現のうちに考えていると、何かの調子に彼はふいと眼が覚めた。と同時に隣室の話声が止んだ。彼は大きく開いた眼で天井をぐるりと見廻した。それからまた、懶い重みを眼瞼に感じて、自然に眼を閉じると、また話声が聞えてきた。やはり妻と瀬川との声だった。彼はその方へ耳を傾けた。

「……どうして取るのでございましょう?」

「さあ私も委しいことは聞きませんでしたが、医者に御相談なすったら分るでしょう。もし本当にそういうことがあるなら、もう専門医の間にはよく知られてる筈ですから。然し何しろ馬一頭を、そのためにわざわざ殺さなければならないから、たとえ効果が確かでも、広く実際に応用されるわけにゆかないのだと思いますね。私の友人の場合でも、院長が最後の手段として試みたものだそうですから。」

「でも確かにそれで治るものとしましたら……。」

「所が確かに治るとも断言出来ないのかも知れません。多くは体質によるんでしょうから。ただ私の友人の場合は、その手当が体質によく合ったものだろうと思われます。」

「馬一匹どれ位するものでございましょうか。」

「さあ……。そしてまた、どんな馬でもいいというのではないかも知れません。