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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
立憲政治の妙趣は、人民の良心の地盤の上に、各種の思想意見をして自由競争をなさしむる点にある。いわゆる優勝劣敗の理によりて高等なる思想意見が勝を制し、これが人民の良心の後援の下に実際政治の上に行わるる点にある。これには思想言論の自由という事が必要である。故に吾人は選挙道徳を鼓吹すると共に、また大いに思想言論の自由を尊重しまた尊重せしめなければならぬ。しかしてここにいわゆる「自由」とは、啻に法律上の自由ばかりではない、社会上の自由をも意味する。元来思想言論の自由に対する圧迫は、独り政府よりのみ来ると思うならば誤りである。しばしばまた民間よりも来るものである。政府の圧迫は比較的これを指摘しこれを防禦するに易いが、民間の圧迫は、往々輿論の形において発現するが故に、これを戒むること、時として甚だ困難である。先年かの乃木大将自刃の際、少しでもこれに疑点を挟むものを国民が非常に罵倒し迫害し、果てはその邸内に石を投げ込むというが如き挙動に出でたのであったが、これなどは一面において大将の徳を懐うという美徳に淵源しても居るだろうけれども、他方たしかにこれは言論の自由に対する盲目的圧迫の明白なる一例である。