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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
されば独逸皇帝は世襲でこそあれ、また名をカイゼルとこそ称すれ、その法律上の性質は、共和国の大統領と何ら異なるところはない。プロシア国王として彼は君主の待遇尊称を受け得ること、もとより言を俟たぬ。しかし独逸皇帝としては彼はハンブルグやブレーメンなどの自由市の市長と何らその資格を異にするものではないと。こういう見解を立てて独逸の社会民主党は独逸の憲法を解して、一種の民主共和の原則に基づくものと主張して居る。この説のもとより牽強付会たることは論を俟たず、またこの説を取っては帝国議会の構成等の説明がつかないのであるが、しかし彼らは独逸は共和国なりと前提して実際上いろいろの面白い言動をなして居る。例えば彼らが、党議を以て、皇帝万歳、並びに宮廷伺候を禁ずるが如き即ちそれである。日本でも西洋でも、普通友人の間でも万歳という言葉を唱うるのであるが、しかし本来の言葉の起りはただ国君に対してのみ唱うべきものであるそうだ。そこでこの意味における万歳は国君のみ独り受くべきものであるから、大統領の資格を有するに過ぎざる独逸皇帝にはこれを与うべきものではないと、こういう理由から、社会党員はいかなる場合でも皇帝万歳を合唱しない。