轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
「オール読物」1953(昭和28)年1月〜6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 页
地境の松の枝を間引いたというお叱りでしたが、あれくらいにして西陽を通さないと、西北側の白蟻は防げないんです……おっしゃるとおり、妙なペンキの色ですが、テルモールや、藍色油なんてえ防蟻剤を交ぜたから、あんなことになった……洋館の西側に、混凝土の馬鹿でかいケチンをつくったのは、ああしておけば、ケチンが扶壁の役をして、いちどに、ぐしゃっといかずにすむからですよ。床脇の違棚をとっぱらったのも、上段ノ間の床板を代えたのも、あのへんが、いちばんひどい家白蟻の巣だったから……だいぶと、お腹立ちのようですが、この家の寿命を繰りのばすに、これでも、相当、骨を折ったつもりです……嘘だと思ったら、造震機を持ってきて、この辺の地面を揺すぶってごらんなさい。屋台ごとひっくりかえるか、ぐっしゃりと尻餅つくか、二つのうちの一つでしょう……それでも、この家を売るというなら、腐朽家屋の抗告をして、売るにも売れないようにしてあげます」
「すると、君にお礼をいう立場かね」
「お礼はいいですが、そのかわり、あちらの洋館をシュラーに貸してやってください……この間、渋谷のお宅へ伺って、奥さんのご内諾を得ましたが、最後のところは、やはり主人の承諾がなくては困るとおっしゃる……話はこういうことなんです。