轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

「オール読物」1953(昭和28)年1月〜6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 页

青空文庫

の末まで、住込みのハウス・メードまで使って、見せかけのアメリカン・ライフをつづけてきたというのは、もち前のひとの好さから、進んでこんなボロ家に住みついてくれた、何人かの『アメリカの店子』の善意によることで、敗戦の余徳といっても、あまりうますぎて、気がひけるくらいのものだった。

日本人一般は、どいつもこいつも貧乏なので、金持国の陽気な国民が駐留してくれなかったら、食いついて絞りあげる相手がなくて、さぞ退屈したこったろう、と誰かがいっていたが、かくいう百々子の瞥見したところでは、こんなのがあった。

ちょっと見られる洋装の女のひとが、目の青い黒毛の子供を連れ、銀座のしかるべき四つ角に立っていて、GIが通りかかると、そっと子供を前へおしやる。子供は心得て、小走りに走って行き、GIのズボンにつかまって、

「パパ」と、せいいっぱいな声で呼ぶ。

どのGIも、身におぼえがあるので、ぎょっとして、早いとこ、何ドルかの紙幣を子供の手に握らせ、後も見ずに逃げて行く。

麺麭稼ぎというのは、外国人に寄生して、ひと旗あげようという、気働きのある連中のことをいうのだそうだが、パン稼ぎといっても、町角に立って、手のこんだ仕掛をするやつばかりとはかぎらない。