轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

「オール読物」1953(昭和28)年1月〜6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 页

青空文庫

ひとの顔のことをいうなら、私もいうが、そういう千々子さまの顔だって、尊敬できるような種類の顔だとは思えない。美貌というものは、他人に愛されるだけでいいなどと考えているうちは、なんの害もない、無邪気なものだが、結婚の相手をさらえこむ網にしようなどと考えだすと、たちまち趣味の悪いものになる。

われらの世代は、パンパンだのストリッパァだの、裸一貫で生活している不滅の英雄を大勢出している。効用とは、人間の欲望を充足させる、そのものが持つ性能をいうのだが、私のこんなヌードでも、ヌードの効用があるなら、結婚と名づけるあやふやな座業をあてにせずに、パンパンにでもストリッパァにでもなって、ひとの世話にならずに生きていく自信がある。百々子の顔に出ているのは、やむにやまれぬ殺気というようなものなのだが、ふしぎとしか見えないのは、是非もない次第であった。

千々子さまなる存在について、私は子供のときから一種の感慨のようなものをもっていた。それは、将来、どこかのやつが、千々子さまと結婚することになるのだろうが、そいつこそは、地上を這いまわる生物のうちで、最も不幸な生物だろうという、そのことであった。