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せんごしんじんろん

戦後新人論

坂口 安吾

「文藝春秋 第二七巻第一一号」1949(昭和24)年11月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,363 字 · 15 页

青空文庫

時事新報の将棋欄の解説者が、木村名人を評して、彼は何でも出来る人物だから、参議院議員となったらよかろう、と云っていたが、まことにバカげたことで、将棋家は将棋を一生の業とすべく、軍人が政治に口をだしたりすると国が亡びる。政治は本来の政治専門家がやるべきこと、将棋家に政治をやられては、こまるのである。政治は誰でもやれる。良識ある者は誰でもやれる。そういう風に政治を見くびっているから、日本の政治家はダメなのである。政治こそ、最も専門の知識を要するもので、単に人物ができているなどゝいう軽率な基盤で政治がやれるものではない。政治はあくまで政策が主で、そこには専門的な知識がなければならず、古今東西の歴史にてらして、未来を測定する確実な計出を必要とする。最も専門を要する職業なのである。

しかし一般には、こういう専門家の特性は考慮されてはおらず、したがって、専門家というものが、どういうものか知られていない。しかし、自分がまことに一芸に専門家であるなら、あらゆる専門家に貴賤上下の別がないことが分るもので、内村博士が荒巻に与えた訓戒は当然すぎるものであるが、日本の常識としては、これは尚、異端に属するものであるかも知れない。