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せんごしんじんろん

戦後新人論

坂口 安吾

「文藝春秋 第二七巻第一一号」1949(昭和24)年11月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,363 字 · 15 页

青空文庫

内村博士のような学壇の壇の深くまつりあげられた超俗の学者が、嬉々として好きな野球随筆に打ちこんでいるのもアプレゲールの新風俗として慶賀すべきところであろう。

これに好一対をなすのが、宇野六段の阪神入りで、往年の学生横綱浅岡信夫が参議院議員になるよりも、宇野六段がバットをふり廻してくれる方が、私にはほゝえましく思われる。その方が筋が通っているからだ。

いったい日本のプロ野球では妙なことを言っている。六大学や実業団からの新人をすぐプロの本選手に仕立てゝグランドに出すのはプロの見識にかゝわるから、入団六ヶ月はグランドへ出すな、などゝ云っている。バカなことを言うものだ。うまけりゃ出すのが当り前だ。十六歳の中学生をいきなりプロの主戦投手にしたって構わない。実力があれば当然なのである。

戦争中の軍人は、艦長一人育てるには二十年かゝる、などと云っていたが、ドングリだから必ず二十年かゝる。天才は二三年でやれる。

野球もそうで、アメリカの大リーグでも、ボールを手にして一年しかたゝないのに、本選手になった天才もあり、ボッブ・フェラーは十八の年にプロ入りしてイキナリ三振十いくつ取っている。