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ピッチャーさつじんじけん
投手殺人事件
「講談倶楽部 第二巻第五号」1950(昭和25)年4月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,243 字 · 57 页
それで、こんな電話があったが、大鹿問題に関係があるんじゃないかというと、大有りだ、これで脈があると云って、とびだしましたよ。停車場で、二人をつかまえて、話し合えば、なんとかなる見込みがあると言って、にわかに元気をとりもどしたようです」
「ハア。そうかい。こッちは一向に元気がもどらねえや」
と、それでも車をとばして駅へ行ってみたが、急行列車は時間キッチリついて、もとより、急行から降りた客が、今ごろうろついている筈がない。
二人は宿をとって、まさにヤケ酒をのむこととなってしまった。
その四 殺人事件
おそらく二人がまだヤケ酒をのみ終らない時刻であったろう。
午前二時半ごろであった。
大鹿にアトリエをかしている葉巻家の庭に面した廊下の雨戸をたたいて、助けをもとめる女の声が起った。葉巻太郎、次郎の兄弟が雨戸をあけると、立っているのは血まみれの暁葉子である。
「アッ。暁さん。どうしたんですか」
「大鹿さんが、殺されています」
「エッ。あなたは、どうかなさったんですか。どこか、おケガを」
「いいえ、私、気を失って、倒れてしまったのです。今まで気を失っていました。はやく、警察を」