轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ピッチャーさつじんじけん

投手殺人事件

坂口 安吾

「講談倶楽部 第二巻第五号」1950(昭和25)年4月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,243 字 · 57 页

青空文庫

葉子さんに、心配するな、と伝えて下さい」

「よし、心得た」

煙山は直ちに東京へとって返す。三百万といえば、話にのる球団があろうとは思われないが、ただ問題は、専売新聞だ。あそこは打撃の一流どこをズラリと揃えたが、投手が足りない。大資本にモノを云わせて、必死に投手引きぬきに暗躍しているのだ。その新聞の記者が朝日撮影所の門前に葉子をはりこんでいるのを見ても、この新聞は大鹿の噂を知ったらしい。

煙山が京都駅から急行にのると、車中で上野光子にぶつかった。スラリと延びたからだを毛皮で包んで、どこの貴婦人かと見まがう様子だ。

「ヤア、御盛大だね。商用かい」

「あら、煙山さんこそ。誰をひッこぬきにいらしたの? 大鹿投手?」

「え? 大鹿が動くんかい?」

「しらッぱくれて。あなたの社の暁葉子と大鹿さんのロマンス、ちょッと教えてよ」

「え? なんだって? 初耳だな。君は、どこから、きいてきたのだ」

「そんなに、しらッぱくれるなら、きかなくッとも、いいですよ」

光子はニヤリと笑って、自分の席へ行ってしまった。

煙山は、とうとうイヤなことになったと思った。光子が関西の球団を当る限りは、大鹿の身売りは成功の見込みがない。