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そうわ

挿話

徳田 秋声

「中央公論」1925(大正14)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,544 字 · 53 页

青空文庫

「何しろあの連中のすることは雲にでも乗るようで、危なくてしようがない」

「ふみ江ちゃんが琴やお花のお稽古で、すましているものですから、先でも買い被っていたに違いないんです。東京へ言ってやりさえすれば、金はいくらでも出るようなことも言っていたようです。こっちには松山の伯父さんもいられるし、これもうんと力瘤を入れているように吹聴したでしょう」

「どうもそうらしいね。ふみ江のいけないのはむろんだが、姉にもそういうところはあるね。それに姉も先方の身上を買い被っていたらしいんだ。そこは僕も姉を信じたのが悪かったけれど、大変いいような話だったからね」

「ふみ江さんが片づきなすったんですか」お絹が訊いた。

「それでごたごたしているんだがね」

「あの方もいい縹緻でしたね。しばらく見ませんけれど、山やに商売に出ているお友だちがあって、ちょいちょいおいでた。その縁談がうまくゆかないんですの。そんなら逢うてお話してあげなすったらいいでしょうに。お婿さんはどんな方です」

「医大の生徒なんだ。どっちがどうだかわからないけれど、悪くいえばふみ江が引っかけようとした形さ。本当に引っかけたのならそれもいいけれど、そこがあやふやだから困る。