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そうわ

挿話

徳田 秋声

「中央公論」1925(大正14)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,544 字 · 53 页

青空文庫

しかしお絹は愛相よく迎えて、うまく取り繕っているらしかった。

「山田さんの奥さんがおいでた」お絹は道太の部屋へ来て、取り次いだ。

「しかたがない、逢おう」

姉はしばらく躊躇した果てに、やっと入ってきた。見るとふみ江もいっしょであった。

ふみ江は母とは反対に、相変らず派手な姿をして、子供をかかえていた。道太は子供が脊髄病のために、たぶん片方の脚が利かないであろうことを聞き知って、心を痛めていたので、今ふみ江の抱いている子供のぽちゃぽちゃ肥った顔を見ると、いっそう暗い気持になって、しばらく口も利けなかった。

「先日は失礼しました。ふみちゃんは今どこにいるの」道太がきいた。

「松山の伯父さんの病気見舞いといって、出てきたんですけれど」ふみ江は嗄れたような声でぐずっている子供をすかしながら答えた。

ふみ江の良人の家は在方であったが、学校へ通っている良人の青木は、町に下宿していたけれど、ふみ江は青木の親たちの方にいることになっていた。

「子供はどうなんだ。脚が悪いそうじゃないか」

「え、それで……」

すると姉がすぐ引き取って、興奮の色を帯びながらその子供の病気の今までの経過について語りだした。