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たんていのまき
探偵の巻
「都新聞 第一八三四二~一八三四四」1938(昭和13)年11月24~26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,368 字 · 9 页
渋々手紙の山を受取つて、さて、読んでみると、驚いた。手紙は大方不良少女同士の文通だが、昨日スケート場で中学の三年生の可愛い子をひつかけたから見せてあげるとか、予科のこども譲つてくれてメニサンクス。貴女に紹介された大学生、つきあつてみると、せんど厭らしい奴やないの。あたしの少年奪つた何子さんに、うち復讐せんならん、等々々。
不良少女なんぞいふてあいを最も月並に考へて、老若二人のもぐりの騎士を常々ひやかすことにのみ専念してゐた小生も、俄に彼女等の非凡きはまる天才に驚き、「吹雪物語」もうつちやらかして、悦に入つて手紙の山を読みほぐし、遂に夜の白むのも忘れてしまふといふていたらくであつた。
「先生、てがかり、おまへんか」と翌朝親爺が現れた時、小生徹夜つづきの尚も法悦極まりない最中だから「まてまて、今に見つける」などと血走つた眼をして勿体ぶれば、親爺はへえーと敬々しく引退るといふ上乗の首尾である。かくして、名探偵の活躍がはじまることになつた。
(二)
シャーロック・ホームズに於けるワトスンの如く、私立探偵は助手が入用ときまつてゐる。翌朝早速京宝撮影所へ電話をかけ、三宅君にサボつてもらふことにした。