轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つめ
探偵クラブ 烙印
大下 宇陀児
大下宇陀児『探偵クラブ 烙印』。同一底本的分册已合并为一书。收入:爪、毒、偽悪病患者。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,509 字 · 103 页
「破傷風なんです。昨夜の十時頃に発病して、もう少し前に駄目になりました」
弟は答えた。ふいに腹の底へ何かがドキリと突き当ったような気持だった。奇妙にも、成功したことが反って情ないようにさえ思われた。同時に、大きな不安がむくむくと頭を擡げて来たのでもあった。
「まあ、沖野さん!」
その室へ這入って行くと、最先きにこういって声をかけたのは、眼を泣き腫らした竹中の母親だった。既に、死体になってしまった竹中の枕頭に、母親と、それから良子もそこへ来ていたのである。
「沖野さん、あなたがいらっしったのは一昨日でございましたね。あの時は、あんなに元気だったのに――」
沖野がしどろもどろに悔みをいうと、母親は泣き声でこんな風に云った。そして、死体にかけてあった白い布を取り除けて、竹中の死顔を見せようとした。沖野は、チラリとそれを見ただけで、すぐに視線を外らしてしまった。その視線の先きに、石のように黙って椅子へ腰をかけている良子の顔が、何故か、きっと自分を睨みつけているように思われた。
「爪の痕はどうしたのだろう?」
誰もそれをいわないので、彼は内心で非常に焦った。竹中の右手の甲を見たかったが、それは毛布の中で、型の如く合掌させてある風であった。