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つめ
探偵クラブ 烙印
大下 宇陀児
大下宇陀児『探偵クラブ 烙印』。同一底本的分册已合并为一书。收入:爪、毒、偽悪病患者。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,509 字 · 103 页
二
そしてそのおどけた顔が、自分自身、泣くように引き歪められていることを知っていたのだった。
二
そこで、沖野鳳亭が後になってふと思付いた殺人方法というのが、こうである。一口にいうと、竹中格之進は一匹の猫を飼っていた。マミイという名で、美しい滑かな白い毛と、金色のまん丸い眼玉とを有っている。そして竹中はこの猫を非常に可愛がっていて、夜は自分の寝室の隅へ寝かして置いてやったのだが、沖野はそのマミイに竹中を引っ掻かせようと考えたのだった。
それは何でもひどく蒸し暑い日のことであった。沖野は竹中を訪ねて行って、竹中の寝室からは扉一つで往来出来るようになっている、書斎兼研究室の中で、何やかや話し込んでいたのであったが、その時、顕微鏡のオブエクトグラスをいじりながら、頻りに沖野の話に合槌を打っていた竹中は、ふと、寝室からの扉が開いたままになっているのに気が付くと、
「あ、いけない!」
と叫んでオブエクトグラスを抛り出し、吃驚する程の音を立てて、扉をバタンと閉めてしまった。
「この頃、把手の工合が悪くなっていていけないんだよ」
その言い方が妙に仔細あり気に聞えたので、訳を訊ねると竹中は答えた。