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すいりしょうせつについて
推理小説について
「東京新聞 第一七八一号、一七八二号」1947(昭和22)年8月25日、26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,257 字 · 11 页
呪われたる何々とか怖ろしい何々とか、やたらに文章の上で凄がるから読みにくゝて仕様がない。そういう凄がり文章を取りのぞくと、たいがいの探偵小説は二分の一ぐらいの長さで充分で、その方がスッキリ読み易くなるように思われる。
凄味というものは事実の中に存するのだから、文章はたゞその事実を的確に表現するために機能を発揮すべきものだ。
その次に、日本の探偵小説は衒学すぎるところがある。ヴァン・ダインの悪影響かと思うが、死んだ小栗虫太郎氏などゝなると、探偵小説本来の素材が貧困で、それを衒学でごまかす、こういう衒学は知性のあべこべのもので、実際は文化的貧困を表明しているものなのである。世間一般にあることだが、独学者に限って語学の知識をひけらかしたがるが、語学などは全然学問でも知識でもなく、語学を通して読まれたテキストの内容だけが学問なのだが、一般に探偵小説界は、まだ知識の語学時代に見うけられる。
法医学上のことなども、衒学的にふりかざゝれており、別にそうまで専門的なことを書く必要もないところで法医学知識をふりまわす。そのくせ重大なところで、実は法医学上の無智をバクロするというような欠点もある。