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すいりしょうせつについて
推理小説について
「東京新聞 第一七八一号、一七八二号」1947(昭和22)年8月25日、26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,257 字 · 11 页
木々高太郎氏の探偵小説芸術論、これも探偵小説を愛するあまりのことで氏の愛情まことに深情け、あげくに惚れたアノ子を世の常ならざる夢幻の世界へ生かそうという、至情もっともであるが、いささか窮窟だ。探偵小説はこうでなければならぬなどと肩をはってはいけないもので、謎ときゲーム、芸術の香気、怪奇、ユーモア、なんでもよろしい、元々、探偵小説というものは、読者の方でも娯楽として読むに相違ないものなのだから、本来が、軽く、意気な心のあるものでなければならない。
ドストエフスキーの「罪と罰」を探偵小説と考えてはいけないので、元々文学は人間を描くものだから犯罪も描く。犯罪は探偵小説の専売特許ではない、文学が人間の問題として自ら犯罪にのびるのに比べて、探偵小説は、犯罪というものが人間の好奇心をひく、そういう俗な好奇心との取引から自然に専門的なジャンルに生育したもので、本来好奇心に訴えるたのしいものであるべきで、もとよりそれが同時に芸術であって悪かろう筈のものでもない。
木々氏は芸術と云うけれども、私は別の意味で、文章の練達が欲しいと思う。文学のジャンルの種々ある中で、探偵小説の文章が一般に最も稚拙だ。