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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

「女人藝術」1928(昭和3)年10月号~1930(昭和5)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 103,349 字 · 207 页

青空文庫

ごたごた文句を言っている奴等の横ッ面をひっぱたいてやりたい。

御飯の煮える間に、お母さんへの手紙の中に長い事して貯めた桃色の五拾銭札五枚入れて封をする。

残金十六銭也。

たった今、何と何がなかったら楽しいだろうと空想して来ると、五円の間代が馬鹿らしくなった。二畳で五円である。

一日働いて米が二升きれて平均六拾銭、又前のようにカフェーに逆もどりしようか、あまたゝび、水をくゞって、私と一緒に疲れきった壁の銘仙の着物を見ていると、味気なくなる。

ハイハイ私は、お芙美さんは、ルンペンプロレタリヤで御座候だ。何もない。

何も御座無く候だ。

あぶないぞ! あぶないぞ! あぶない無精者故、バクレツダンを持たしたら、喜んで持たせた奴等にぶち投げるだろう。

こんな女が、一人うじうじ生きているより早くパンパンと、××を真二ツにしてしまおうか。

熱い飯の上に、昨夜の秋刀魚を伏兵線にして、ムシャリ頬ばると生きている事もまんざらではない。

沢庵を買った古新聞に、北海道にはまだ何万町歩と云う荒地があると書いてある。あゝそう云う未開の地にプロレタリヤの、ユウトウピヤが出来たら愉快だろうな。